活劇とグルーヴの日記

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zoom RSS モービー・ディックは恐ろしい。

<<   作成日時 : 2012/06/20 23:31   >>

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何の気なしにハーマン・メルヴィルの『白鯨』なんてのを読んでいたら、背筋が寒くなった。

というのも、今の日本の状況になんだか似ているから。
捕鯨船の船長エイハブは自分の片足を食いちぎったモービー・ディックに復讐を誓うが、このマッコウクジラは単なるクジラではなくて、“荒ぶる神”というか人間がそもそもコントロールできない自然の驚異そのもので、人間にとってはアンタッチャブルな領域に棲む怪物。エイハブ船長は、神が自分を侮辱するなら俺にもやり返す権利があるはずだ、と自然の圧倒的な残酷さに対してとてつもない憎しみを持っている。
まあ、その気持ちは分からないでもないし、ひとりで立ち向かう分には何の問題もない。けど、あくまで捕鯨の仕事でその船に乗っていた乗組員はたまったもんじゃない。エイハブは捕鯨船を個人的復讐に向かわせるべく、したたかに乗組員を洗脳し、船の絶対的権力者として、全員を運命の共有から逃れられないものにしてしまうから恐ろしい。乗組員のなかでもきわめてマトモな感覚を持っている一等航海士のスターバックですら、この船長の計算高さと狂気の前では最後まで無力のままで、怪物と戦うハメになってしまう。その末路は、悲惨。

モービー・ディック、自然災害、原子力……。

経済発展のための“国策”とかいう旗を掲げた船にいつの間にか乗っていた自分は、といって『白鯨』の乗組員のようなエイハブの犠牲者とは程遠い。というか無批判に、そして無自覚に快適なクルーズを堪能してしまっていた単なるアホたれだったわけで。けれども、誰だって経済発展とか快適な暮らしとかのために、モービー・ディックに海の藻くずなんかにされたかない。これ以上したたかな権力者に狂った舵取りをさせないよう、ちゃんと目を光らせている義務がある。もっと早く読んどくべきでした。



ジョン・ヒューストン版。こういう物語は映像化すると神話的なスケール感がなくなるので、微妙。



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