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zoom RSS 映画『果てなき路』/不器用なひとたちへ

<<   作成日時 : 2012/01/22 21:52   >>

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モンテ・ヘルマンの21年ぶりの新作。

ということで話題になっている。
個人的にモンテ・ヘルマンといったら、ウォーレン・オーツが闘鶏に生きる『コックファイター』(74年)だ。とにかくこの映画のウォーレン・オーツは切なすぎる。動物愛護団体からボロカスに言われ、世間から忌み嫌われ、女に蔑まれながらも、「俺にはこれしかねえんだ」と、ニワトリを闘わせ続ける人生。ラスト、盛大に女に振られるこの、男の中の男であるウォーレン・オーツの哀感の背中を、あなたは直視することができるだろうか? ヘルマンの作家性がどうだとか、アカデミックなことを言っているあなたは、おそらく本当の男の切なさを知らない人間である(まあ、そんなこと知らないほうが、幸せだと思うが、というか誰に言っているのか)。
ヘルマンの代表作といえば、『断絶』(71年)。この映画でシンガーのジェイムズ・テイラーが演じる主人公も、ひたすら車を走らせるしか能のない、コックファイター的な男である。まだ豊かにあった頃の頭髪を風になびかせながらも、相棒の故デニス・ウィルソンがヒッチハイカーの女の子とよろしくやっているのを黙って見過ごすしかない彼は、なんとも武骨で不器用な青年だ。

こうしたモンテ・ヘルマン的な不器用メンに心を動かされてきた我々が、今回の新作『果てなき路』(10年)でまず驚かされるのが、駆け出しの映画監督である主人公のナンパ野郎ぶりだろう。女優といちゃつきたい願望を芸術的欲求と取り違えるこのアホが、いったいいつ森から現れた殺人鬼に滅多刺しにされるのだろう?とウェス・クレイヴンのB級ホラーでも観ているときのような映画的欲求に取り憑かれながらスクリーンを見守る中、このアホ監督と尻軽女優はあれやこれやという間に、関係を深めていく。いったい、70年代のウォーレンやジェイムズはなんだったのか、ヘルマンしっかりしてくれよ!とそろそろ席を立とうかと思った瞬間、この映画はぐにゃりと虚実がねじれ合い、ノワール的な迷宮へ観客を誘い込んでいく。尻軽女優の正体はなんだったのか、アホ監督はどんな陰謀に巻き込まれているのか。このあたりの真実が顔を覗かせそうで覗かさない、わかりかけたところでさらなる謎に没入していくような、焦らしのサスペンスの妙。「映画制作」を介して、虚構と現実を交差させるやり方は、とりわけ新しくもないものの、この職人的ともいえる手腕は、21年ブランクがあった監督とは思えないもの。普通に娯楽としても楽しめるアメリカ映画であった。

もちろん勘違い野郎クンの末路もちゃんと描かれるよん。

(シアター・イメージフォーラム、1/18)


『果てなき路』(10年)


『断絶』(71年)


(たぶん90年代頃のジェイムズ氏。見た目は涼しくなっても、歌は暖かく、そして切ない。いつ聴いても名曲。ああ、今夜は独りにしないで)




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