活劇とグルーヴの狭間でもだえ苦しむ男の日記

アクセスカウンタ

help RSS インコグニート 『TRANSATLANTIC R.P.M』

<<   作成日時 : 2010/07/29 17:51   >>

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

音楽的大西洋横断。

海の向こうにあこがれを感じる。これは誰もが持つ感覚というわけではないだろう。そもそも大陸に囲まれた国の人にそういった感情はない。
地球は太平洋と大西洋というふたつの海で分かれている。それで、ちょうどアジアの一番東端に位置する我々日本人は、太平洋をはさんで向こうに存在するアメリカにあこがれを感じる。もちろんそのことがすべてではないが、そのあこがれに、この地理的な要因が絡んでいることは事実だろう。海のはるか彼方、というのが重要な点。近くてもダメ。といっても、将軍様の国になんらあこがれを感じないのは、あの国がやたらと近いから、というわけではもちろんない。というか距離の問題ではない(それ以前の問題だ)。
話がそれたが、そうなると当然、我々とは逆側にも、同じく海(大西洋)の向こうにあこがれを持った人達がいる。その西ヨーロッパの人達はしかし、我々よりもはるかに、海の向こうへの思いは強い。それもそのはず、大航海時代から始まり、18世紀以降の移民など、積極的に海を渡っていった歴史を持つ彼らである。そのなかでも、イギリス人のアメリカ音楽へのあこがれは尋常ではない。でもこれはなぜか。一般的にアメリカの音楽というと、ロックやR&B(あとは南米のレゲエ)ということになると思うが、それらはいずれも奴隷としてヨーロッパ人によってアメリカ大陸に連れて来られたアフリカ人(もしくはその子孫)が生み出したもの(ロックはリズム&ブルース=ロックンロールから派生している)。それを考えると皮肉な話である。しかしそういった負の歴史から生まれた新種の音楽に、伝統の香り高いイギリスという国の人達がひかれるというのも、なんとなくわかる気がする。とまあ、これはなんの専門的知識の裏付けのない単なるシロウトの妄想に過ぎないから、このへんにしておこう。ただ、アメリカが、我々日本人と同じくはるか海の向こうにあるという事実が、イギリス人のアメリカ音楽へのあこがれに関係している、ということは言えるだろう。

で、相変わらず前置きが長いが、そのアメリカ音楽とりわけ70年代のソウル・ミュージックにあふれんばかりのあこがれ(と深い愛情)を持つジャン・ポール“ブルーイ”モーニック(といっても彼の出身はアフリカのモーリシャスらしいが)率いるイギリスのグループ、インコグニートの新譜をさくっと。

画像
インコグニート 『TRANSATLANTIC R.P.M』(10年)

60年代のブリティッシュ・インベージョンの次に、80年代以降イギリスでムーヴメントとなったアシッド・ジャズ・シーンの代表格として90年代に一世を風靡、なんて説明はもはや不要なこのグループのキャリアは意外にも長く、今年で結成30年。そういえば昨年末の来日ライヴも、それを記念してのものだった(彼らはまずライヴがすばらしい)。

ということで今作は、リーダー・ブルーイの青春時代(70年代中期)に響いていた、あこがれのアメリカのソウル・ミュージックがキーとなっている。といっても、いつも通りのインコグニート・サウンドで、最高にファンキー&グルーヴィなのは変わりないが、今作の目玉は70年代ソウルを代表するアメリカのアーティストの参加だろう。
まずなんといっても、オープニング曲。ボズ・スキャッグスのミッド70sの傑作“Lowdown”をシャカ・カーンをゲストに、原曲に忠実ながらもよりスムースなサウンドとしてリメイク。シャカ・カーンの歌声もいまだ失われないその高音の伸びがすばらしい。共演相手のイタリアのジャズ/ソウル・シンガー、マリオ・ビオンディも渋い声を聴かせている。シャカ・カーンは#8でも登場。しかもギターでアル・マッケイが参加しているという贅沢さだ。
しかしうれしいのは、メロウ職人のリオン・ウェアが共作&シンガーで参加した#5だろう。これはリオン流70sウェスト・コーストのメロウネスとインコグニート・サウンドの共演といったところか。
一番気に入っている曲は、#3のその名もずばり“1975”。ブルーイの音楽的な思い出を歌ったこの曲は、あまりにインコグニート的なメロディとサウンドがすばらしい。現在まで一貫して、自身の70年代中期における原体験から得たものを音楽にしている。このひとの音楽には、まるで「裏」がない。まさにエヴァーグリーンとはこのことだ。
ほかにも、ニューヨークのクラブ/ソウル・ユニット、トーチャード・ソウルのクリスチャン・ユーリックをフィーチャーした#7はもろに往年のUKクラブ・ファンクっぽいノリで懐かしい。おそらく90年代UKクラブ/ジャズ・シーンに影響されたアメリカのトーチャード・ソウルとその代名詞であるインコグニートが交わるというのも、現代的だ。
おなじみのメイサやトニー・モムレルももちろんいい歌を聴かせている。

これはしばらく愛聴しそうだ。

Incognito 『TRANSATLANTIC R.P.M』(10年)
1. Lowdown
2. Everything That We Are
3. 1975
4. Your Sun My Sky
5. Line In The Sand
6. Gotta
7. Let's Fall In Love Again
8. The Song
9. Put A Little Lovin' In Your Heart
10. All Of My Life
11. Expresso Madureira
12. Life Ain't Nothing But A Good Thing
13. Make Room For Love
14. Can't Get Enough
15. The Winter Of My Springs
16. Tell Me What To Do







トランスアトランティック・RPM
Pヴァイン・レコード
2010-07-14
インコグニート

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by トランスアトランティック・RPM の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



にほんブログ村 音楽ブログ CDレビューへ
にほんブログ村にほんブログ村 音楽ブログ R&B・ソウルへ
にほんブログ村

テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
インコグニート 『TRANSATLANTIC R.P.M』 活劇とグルーヴの狭間でもだえ苦しむ男の日記/BIGLOBEウェブリブログ
[ ]